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2008年5月
東京都港区六本木 住宅展示場
ここは本来住宅展示場だが、近いうちに取り壊すというので
その前にここで美術展をやることになった。
私も始めて参加するグループ展(DANDANS)で、一部屋に付き一作家が作品を展示するという方式だった。私はD棟の2階をあてがわれ、漠然と風船でも展示するのかな~と思っていたが、この部屋を見てひらめいた!
「・・・立体ジッパーが出来る!・・・」
そうなのだ、三年ほど前、私は六本木トンネルに巨大ジッパーの壁画を描いた。
それはなかなか好評な作品であったが、そのアイデアに味をしめた私はその直後から「今度はこれの立体バージョンを作ってみたい」という衝動にかられていた。
しかし、なかなかそんなチャンスは訪れなかった。なぜなら、立体にする以上、ジッパーを開けたところは穴が開いてその向こうが見えていないとリアリティーがないからだ。
世の中に、そう簡単に穴を開けさせてくれるところは無い。それが、今回見つかったのだ。そう、ここはこの展示が終わったら壊してしまうのだから、何をやってもよいのだ。
私の予感どおり、最高におもしろい作品となった。みんなも目を丸くして見ていく。
とその時、スーツ姿の何人かがドヤドヤト入ってきて作品を真剣に見ている。その中の住宅展示場の社員らしき人が、この穴の中を指差しお客さんにこの建物の床構造を熱心に説明しているのだ。それが終わるとさっさと引き上げていった。
・・作品については一切触れることなしに
・・というかこれがよもや美術作品とは誰も思っていないようだった。
なるほど、アートなどというものよりよっぽど実用的である。
住宅メーカーの方々へ。おたくの住宅展示場にこの作品を設置する気はないだろうか?価格は交渉に応じるつもりである。